
解離性障害という記憶喪失や多重人格を症状とする病気。
とても独特な病気です。
ネットを検索すると「(病名)自己診断チェックシート」という記事があります。
解離性障害についてもでてきますね。
私と家族は病院で解離性障害と診断されていますが、はっきり言います。
自己診断チェックで解離性障害かどうかなんてわかりません!
理由は1つです。
解離性障害の患者には自覚症状がほぼないからです!
この記事では自己診断チェックが使えない理由と、どうしたら解離性障害かどうかわかるのかを紹介していきます。」
目次
解離性障害の自己診断チェックができないのは症状を自覚していないから
解離性障害の自己診断チェックが使えないのは、患者に自覚症状がないからです。
解離性障害の解離とは切り離すことです。
切り離してしまうものにはこんなものがあります。
- 記憶
- 人格
- 感覚
- 自分が存在している感覚
- etc...
実際に症状を踏まえてたとえ話をしてみましょう。
ある時朝起きると買った覚えのない物が机の上にありました。
これは人格が交代している間に買ったもので、Aさんはその時の記憶がありません。
通常であれば「おかしい、こんなものかった覚えはない」となるでしょう。
しかし、解離性障害の人は「こんなの買ったかな?うーん、まあいっか」となってしまうのです。
「まあいっか」と自分に起こった現実を切り離して、解離してしまいます。
このように、異変に気付くような場面でも解離してしまうことから、なかなか本人に症状の認識がありません。
そのために自己診断チェックでわかることが難しいのです。
でも、診断チェックの使い方は別にあるんです!
解離性障害の自己診断チェックは他人が見ればわかる!
解離性障害の自己診断チェックは本人では難しい。
しかし、これが他人であれば話は別です!
なぜなら、周りからだと明らかにおかしいことがわかるからです!
先ほどのたとえ話に出した「知らないうちに物を買っている」という場合。
たとえ本人がまあいっかで終わったとしても、周囲の人はそうはいかないでしょう。
仮に知らないうちに解離性障害だと気付いていない家族が扇風機を買ったとしましょう。
こんな会話になったら、家族は「おかしい!」となりますよね。
このように、例えに限らず、解離性障害の症状は周りの人なら気づきやすいのです。
診断チェックなしでも気づきやすいポイントは3つ!
ネットなどの自己診断チェックがなくても、周りの人から見て解離性障害かもと気づきやすいポイントは3つあります。
- 日にちや曜日の認識がおかしい
- 同じ場所へ行ったなどの共通の体験について覚えていない
- 無表情で反応がなかったり、目が変な動きをしている
これらは解離性障害の特徴的な症状
- 記憶喪失
- 多重人格
- 離人症
が関係しています。
ではそれぞれ見ていきましょう。
日にちや曜日の認識がおかしい
解離性障害の人は日にちや曜日が頻繁にずれてしまいます。
それは症状の「解離」と「多重人格」が関係しています。
まず、解離しているときは現実感がなくかなりぼんやりとしています。
そこにいるのにいないような感覚、これを離人感と言いますが、存在しているのにその認識が難しくなります。
次に多重人格ですが、人格が交代して過ごしている間の記憶はほとんどありません。
中には薄らぼんやりつながっている人もいますが、ほとんどはありません。
そのため、交代する前と後で時間に差ができます。
このような2つの症状のために日にちや曜日の感覚がずれ、認識がずれてしまうのです。
同じ場所へ行ったなどの共通の体験について覚えていない
解離性障害は独特な症状から、記憶喪失になります。
記憶喪失というのは、1部分の記憶がなくなることも記憶喪失に入ってくるのです。
記憶喪失と共に特徴的な症状の多重人格も、人格が交代している間の記憶がなくなることから、記憶に大きな影響を与えます。
そのために共通の体験をしていたはずなのに、そのことについて全く覚えていない、どころか知らないということがおきます。
共通な体験というのは
- 一緒に何かをした
- 一緒にどこかへ行った
- ある出来事の場面に一緒に遭遇した
といった、同じ出来事の経験や体験をしていることです。
1つ例をあげてみます。
その日は2人とも楽しかったんね、面白かったねと帰りました。
後日AさんはBさんに2人で見に行った映画の話をしました。
するとBさんは
「え、あの映画もう見に行ったの?一緒に行くって話してたのに」
と、見に行った映画のことも、映画を見に行ったことすらも分からない様子でした。
この例のように、忘れているというよりも、その出来事がなかったかのような状態になります。
このような反応になるとさすがに誰でもが「おかしい」「変だ」と気づきやすいです。
無表情で反動がなかったり、目が変な動きをしている
解離性障害の特徴的症状の離人症(離人感)。
離人と言うのは自分がそこにいるのにいないような感覚です。
様々な出来事に対して現実味を感じにくくなり、自分の体験ととらえにくくなるのです。
そのために、どうしてもぼんやりとしてしまったり、反応が鈍くなったりします。
解離というものには誰でも起こす日常的なものもあります。
例えば
- 本を読んでいた時気が付いたらものすごい時間がたっていて驚いた
- 考え事をしていて声をかけられても気が付かなかった
このような日常的な解離もあるのです。
ただ、日常的な解離はそんなにしょっちゅう起こすものではありません。
しかし、解離性障害といわれる病的な解離は日常的にこのような状態を頻発してしまいます。
そのために無表情でぼんやりとしていて、反応がなくなってしまうのです。
そしてもう1つ、解離性障害の人は独特な目の動きをします。
これは、解離性障害の人がフラッシュバックなどの症状をおこしたり、多重人格などの独特な症状を持っているためです。
この独特な症状は脳の使い方が独特なものになってきます。
それが目にあらわれ、通常人が動かそうとして動かせないような眼球の動きをします。
その動きは左右の眼球がバラバラに規則性がなく回っているようで、周りから見ると明らかに奇妙な動きをしているのが肉眼でも確認できます。
そのほかの気づくポイント
解離性障害はかなり独特な症状を持っています。
なので先ほどあげた3つ以外にも周りが気づけるポイントがあります。
これについて東京都立松沢病院のホームページに以下のように記載されていました。
ぼーっとして無表情、話しかけても応答がない⇒混迷
特定の出来事をどうしても思い出せない、特定の人との約束や会話を何気なく忘れてしまう⇒健忘
突然失踪のように行方をくらます。気が付いたら別の場所にいたという。⇒遁走
現実感がなくなり世の中が芝居のセットのように思え、「自分が自分でない」「ロボットのようだ」と感じてしまい、それに苦しむ。⇒離人症
本人の様子が突然変わるが、その間の記憶がない。⇒多重人格その他、けいれんする、声がでない、耳が聞こえなくなった、質問と関係のない答えしかできないなど、異常な感覚、行動が現れます。どの場合にも、患者本人には、そのきっかけや原因がわかりません。
東京都立松沢病院ホームページ より引用
解離性障害は患者本人には症状に気づきにくいですが、周りの人からするとかなり特徴が見て取れます。
周りで解離性障害かも?と気づいたらすること
解離性障害はそのままにしていると治療が大変になってしまいます。
周囲の人が気づいた場合は、まず病院へ連れていきましょう。
この時に個人の心療内科やクリニックは初診の予約を取るのにとても時間がかかることが多いです。
さらに解離性障害の治療は薬もなく、特殊な心理療法が必要になる場合もあり、多くの病院で診れるわけではありません。
場合によっては別の病院へ紹介となることもあるでしょう。
どんな病気も同じですが治療には家族や周囲の人のサポートが必要です。
まとめ
解離性障害は自己診断チェックはなかなか使えません。
それは症状の自覚がないからです。
その代わり周囲の人が見ればおかしいことに気づきやすいです。
気が付いたときは精神科や心療内科などに連れて行ってあげてください。
全国にある精神保健福祉センターに相談することも良いです。
とにかく、ほっておいて、状態がひどくなると、それだけ治療も大変になります。
そのため、早い相談や受診をお願いします。